Page:Insect Literature by Lafcadio Hearn.djvu/43

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本文學には『ロザン』といふ名で知れて居るあの支那の學者の幸運を自分は希望する事が出来ればと思ふ!此人は、十日每に訪ねて來ては蝶の話をして吳れた、天女であつた、精靈、の乙女二人に愛せられて居たからである。さう、支那には蝶に關した不思議な物語———妖怪的物語———がある。自分はそれが知りたい。だが永久自分は支那文を、いや日本文すら、讀む事が出来なからう。そして自分が、非常な困難をして、どうにか翻譯し了ほす少許の日本詩歌にも、支那の蝴蝶物語を暗指して居るところが甚だ多いので、自分はタンタラスの苦に苦められて居るのである。.........そして、固よりの事、自分のやうな懷疑的な男をいつか訪ねて吳れるやうな精靈の乙女なんか一人もあるまい。